前代未聞の環境下に始まった今期の3・4年生の授業。
暗中模索が続く中、教員も学生もとりあえずはオンラインzoomで乗り越えました。
「オンラインの方がなぜか集中できるんだよね」
「でもものすごく集中力を要する分、90分は長く感じる」
「不思議なのは、普通の授業だと居眠りする人もいるのに、オンラインだとそれがいないこと(笑)」
「でもやっぱり、face to faceの心地よさが恋しい自分もいる」
「後期の授業は、対面とzoomをかけ合わせたハイブリッドになるといいなあ……」
いろんな声が聞こえる中、英文学が専門の高島ゼミでは前期の総まとめ中。
学生が各自、設定された題材をもとに自分でテーマを設定、研究した結果をゼミ内でプレゼンする授業が行われていました。
その題材とは↓↓↓
イギリス・オーストラリア・アメリカの映画『英国王のスピーチ』。
英国王ジョージ6世が吃音に悩まされながらも、オーストラリア出身の言語療法士ローグと一緒に障害を乗り越え、国王としての任務を遂行していく状況を描いた、歴史ドラマ。高いハードルを超えていく一人の人間の姿が誰の心にも刺さる映画です。
通常ならこの映画を授業内で鑑賞、高島先生が解説をしながらディスカッションをしていくのですが、今年はオンラインになったということで、高島先生も「どうしたらこの学びを対面授業並みに深められるか」をかなり試行錯誤したのだそう。
結果、学生さんにあらかじめ題材を提示、事前に鑑賞をしておいてもらい、先生が作った質問シートにあらかじめ答えてもらい理解を深めておいてもらう。
そして実際オンラインzoom授業に進んだ時に、先生がその社会的背景や歴史事情などを解説。ディスカッションへと進み、ある程度各学生がその内容を掴んだと見えたところで、先生が一人一人と個別面接(チュートリアル)。
映画を土台に各学生の研究テーマを見つけてもらい、そこに自分が感じた疑問などを加えて、パワーポイントにまとめ最後発表というのが、前期の流れとなりました。
「みなさん、今週も元気にしてましたか?」
「長梅雨ですが、みなさん、体調とか崩してませんか? 大丈夫?」
全員、にこり。画面越しではあるけれども、高島先生の笑顔に学生の面々も先生の笑顔にホッとした表情。
「じゃ、始めましょう。今日はプレゼンの日でしたね。どんな内容ができたか、楽しみにしていますよ」
Fさんのテーマは、『イギリスとオーストラリア』。
4ヶ月間オーストラリアへ行っていた実体験を基に、この映画がイギリスとオーストラリアの合作であったことに着目。
イギリスの支配下にあったオーストラリアとその関係性について、2国がどういう歴史を辿り、Fさんが現地で生で視たオーストラリアの姿につながっていったのかを紐解いたお話。
Tさんのテーマは、『ファシズムの台頭とヒトラー政権下のドイツ』。映画の中で当時の首相ボールドウィンに「彼ほど道義心にかけた人間がいるとは」と言わしめた悪役ヒトラー。
でも元はと言えば彼も選挙で国民に選ばれた人間だったはず。世紀の大悪党となりうる人物を、どうしてドイツ国民が選んだのか?ドイツの当時の道徳観が他国民と違っていたのか? という疑問を追究。
ヒトラー政権の誕生から当時のヨーロッパの国家関係などをTさん独自の視点で解説してくれました。
他にも、映画の主人公の一人でもある言語療法士ライオネル・ローグが行なった実際の治療法を調べ上げ、ジョージ6世が長らく壁を破れずに苦労した吃音の世界のあれこれを教えてくれた学生や、主人公ジョージ6世の治世が一体どういうものだったのかを調べ発表してくれた学生など、ゼミ生のメンバーの数だけ知識量が増え、世界観も全方位的に広がっていった前期最後の授業。
それぞれの発表にしっかり個性が反映されていて、他のゼミ生も大きくうなづいたり、考えさせられたり。
「みなさんこの環境下で、レポート提出にzoomプレゼン、本当によく頑張ったと思います。まずは自分で自分を褒めてあげてくださいね」と、授業の最後に、学生に優しい笑顔を向けた高島先生。
どうか1日も早く、この全員の笑顔を、大学で、対面で、近距離で、見られますように☆