He swam the river.(彼は川を泳いだ) He swan in the river.(彼は川で泳いだ)
二つとも文法的には間違いじゃない。どちらを使ってもOK、意味は伝わる。「けれど何かニュアンスがちょっと違うんじゃない?」。そのナゼ?ドウシテ?を解き明かすのが、岩下先生の授業。
「上の文は、彼が大きな川を舞台にのびのび泳いだという光景が見えますが、下の文は区画限定された川の中で泳いだという光景が見えますよね」
「次の文も、言いたい結論はほぼ一緒。文法的にもどちらも正解。でもニュアンスが違います。あなたならどちらを使いますか?」
Mary broke a wine glass. May I use your broom to clean the glass?(メアリーさんがワイングラスを壊しました。掃除のために箒を借りてもいいですか?)
A wine glass was broken. May I use your broom to clean the glass?(ワイングラスが壊れました。掃除のために箒を借りてもいいですか?)
「上の文だとどことなくワイングラスが壊れたのをメアリーさんの責任にしている感じがありますが、下の文のようにグラスを主人公に受身文に変えるだけで、優しい言い方になります」
岩下先生からの解説を受け、次は学生さんからの発表が始まりました。
「I gave a watch to Mary. と I gave Mary a watch. これを普通に発音すると、最初の文は時計を “誰に” あげたのかが強調され、次の文はMaryに “何を” あげたのかが強調されます。この場合、gaveの後に続く最初の目的語が旧情報(聞き手が既に知っている情報)、そして最後の目的語が新情報(聞き手が知らない情報)。ネイティブがこの二つの文をほぼ無意識に使い分けているとき、よくよく分析してみると、より聞き手に知ってもらいたい目的語(新情報)を、必ず文末に持ってきていることに気づきます」という学生さんの発表に、クラス全員が納得。
この日は2人の学生さんの発表で終了。クラスには英語の先生を目指している人も数多い。
「中学生くらいの時、先生に文法面で『それはどうしてそうなるんですか?』と訊いても『そういう風に言うんだから、そう覚えなさい』と言われた記憶、ありませんか? もし自分がそんな答えをもらったら、私なら納得できない、笑。だから、教師としてはそこをちゃんと説明してあげられる=文法の論理を細かいところまでなぜそうなっているのかを構造的にちゃんと理解することを、授業の目標にしています」と指導教員の岩下先生。
教科書を土台に自分で調べ、クラスの仲間にプレゼンテーションを行った学生さんたちも「英語の例文が次第にパズルのように見えてきます」。
授業を終えた後は、『英文法の細やかなナゼ?』をちゃんと説明できる自分になっていること間違いなし!の90分です。