学科の学生と国際ボランティアが近隣の小・中学生に英語を教えるプロジェクト『サマースクール』。
今年はオンライン(zoom)上で開催、8月2日(日)から9日(日)まで、総勢74名がネット上に集うことになりました。40分授業×1日2回。
43名の国際ボランティア達も、飛行機代がかからないとあって、ハンガリー、ジョージア、メキシコ、ベラルーシ、イタリア、ルーマニア、ヨルダン、英国、ガンビアと、実に様々なところから参加してくれることに。
英語を学ぶ小・中学生の方も、今年は日本の小学生(約60名)だけでなく、なんとコーカサス地方のジョージア(!)からも小学生(約60名)が参加してくれることになりました。
え? 初対面で? Zoomで? 世界中から? 英語の授業? どうやって?
たくさんの「?」が尽きないところ、一体どのようにサマースクールの準備が行われているのか、サマースクール担当のブラッド先生に聞いてみました。
⬛︎ 国境を超えたオンラインミーティング、すごいですね
「結構面白いです。大変なことがあるとすれば時差。打ち合わせをするのに、地球を一周するような地理関係にあるメンバーとやり取りをするので、ミーティングが夜中になることもあります」
⬛︎ 具体的に会わずにどういう風に作業を進めているんですか?
「8 チームに分かれて、それぞれ、LINEやWhatsapp(LINEの国際版)やSlackを使って、“英会話が必要なシチュエーション(場面)”をチーム単位で考えます。色々ありますよね、『初めて会った時』『ピクニックに行く時』『カフェでお茶をする時』など。で、各チーム、イラストや動画、もしくはパワポなどで、そういうシチュエーションをネット上に作り出し、それをzoomの共有画面で小・中学生に見せ、先生役の学生や国際ボランティアが会話見本をしてみせて、小・中学生に反復してもらう、という授業を考えています。
例年と同じく、明星サマースクールの面白いところは、先生役のボランティアに色々な国の人がいるというところ。 だから『ご飯を食べる』シーンだと、答えは味噌汁もあり、ケバブ(イスラム圏の食べ物)もあり、ヒンカリ(ジョージア版小籠包)もある。しかもそれが今年は画面を通して、食文化の違う相手と直でつながっている! そこに小・中学生も面白さを見出してくれるんじゃないかと、期待しています」
⬛︎ こんなたくさんの人数をどうやってネット上でまとめてるんですか?
「最初に74名全員で30分くらい、全体ミーティングを行います。で、そこからzoomのブレイクアウトルームの機能を使い、8チームに分かれて、授業内容のディスカッション。方向性が決まったところで、さらに30個くらい(各2-3人)のブレイクアウトルームに分かれ、そのグループ内で詳細を詰めていきます。大きな川で全体の方向を確認→中規模の川で内容をディスカッション→小川に入って詳細を詰め、最後にまた大きな川に戻ってきてずれていないか再確認。そんな感じで、全員がまとまって作業をしています」
⬛︎ 例年顔を合わせていても共同で作業を行なっていくとある程度の異文化摩擦は起きると聞いてますが、ネット上でもそうですか?
「そこは興味深いところですね。発言一つとっても、日本人学生は相手に遠慮しながら空気を読んで話をしますが、ジョージアのボランティア達はものすごくストレート。対して英国のボランティア達は、言いたいことを婉曲に表現して上手に物事を進めようとする、など、ネット上の会話でも相当様々なギャップがあります。そこが逆に面白いんですね。現地に行けなくとも、ライブでコミュニケーションを図ることにより、学生はその微妙な考え方の違いを、zoom上から学ぶんです。会話を重ね、ぶつかり合ううちにそのあたりの温度差が消えていき、一つの目標に向かってチームが動いていく手応えを感じられた瞬間は、見守っているこちらもうれしくなります」
==============
そこで国境を超えたzoom会議をちょっと覗き見。
学科の学生が先生役。イラストやパワポを見ながらゆっくりと英会話の例文を読み上げるのを聞きながら、生徒役の国際ボランティア達が反復して例文を読み上げる。
何回か繰り返した後、全員で感想&意見を言う時間がスタート。
「Tさん、とても顔の表情が豊かでジェスチャーも分かりやすく、英語自体が理解できない人でも、何を言いたかったのかは分かる表現力があったと思います」
「教えてもらう側もTさんのような笑顔がそこにあると、やる気が出ますよね」
「パワポだけで説明する時間が長すぎると飽きるので、やはり身振り手振りと例文の内容を一致させて相手に伝える方にもっと時間を割いた方がいいのではないですか?」
活発な意見交換の後に、もう一度授業を再現。
学科の学生の表現力も豊かになり、オンライン授業の質も徐々に上がっていく。
話す速さ、身振り手振りの付け方、顔の表情に至るまで、どうしたら英語を分からない人に雰囲気で分かってもらえるかをzoomでみんなに見てもらいながら、ブラッシュアップ。
ところで。
⬛︎ 小・中学生の皆さん、zoom使えますかねえ?
「それも心配ご無用です。学科の先生が、サマースクールが始まる前に保護者の皆さん向けにzoomの使い方講座までやってくれます。だから今年の小・中学生にとっては、英語を学ぶだけではなく、zoomの使い方も一緒に学べる良い機会になりますね」
==============
対面が難しければ、ネット上での出会いと学習を。
どこまでもめげない学科メンバーの挑戦は、今日もオンライン上で続けられています。
さあ、史上初、74名参加のオンラインサマースクール。
いよいよスタートです。