国際コミュニケーション学科には、色々な授業があります。
チーム別のディスカッションまたはディベートがメインの授業。プレゼンテーションに力を入れている授業。プロジェクトそのものを自分たちで企画遂行していく授業。知見の深い先生から直接、“世界の今” を教えてもらう授業……などなど。
異文化理解論を担当している菊地先生は、東アフリカの海岸地方をフィールドに、人類学研究を続けてきました。文化人類学とは、一言で言うならば、『文化や社会から、人間とは何か?について問う』学問。各地の生活様式や言語、習慣、ものの考え方を比較研究し、人類にとっての共通の法則性を見出したり、もしくは異質性を発見したり、そこから議論を発展させていき、現在の世界における人類の共通課題を探り研究します。
本日の授業は『食と農業』。「普段は食についてなんて考えたことない!」という人も、食なくしては生きていけないはず。「将来農業を生業にしてみたいと思う人、いますか?」という菊地先生からの質問に、クラスは挙手ゼロ。「農業って、農産物を生産するという意味だけにとらわれがちですが、人類学的な目線でいくと、実は景観を美しく保ったり、地域社会を維持し経済を活性化するなど、食物だけにとどまらない様々な機能を持っているんです。例えばEUの政策はそれを “農業の多面的機能” と捉え、産業としての魅力を保つために、政府も多額の補助金を入れているんですね」
→世界の農はどうなっているんでしょうか? →ヨーロッパは?アフリカは? →そして日本は?
農から人間を視ると、それはそれでまた様々な現代社会の課題が炙り出されてきます。それが授業で読み込む『文化人類学のエッセンス(有斐閣アルマ刊)』。
テキストを読むだけなら1人でもできますが、 “授業” がそれとは違って奥行きがあって面白いのは、話の要所要所に、内容を噛み砕いて伝える菊地先生の “実体験” がたくさん挟み込まれているから。実際に現場を訪れ、皮膚感覚で体感したアフリカ、ヨーロッパ、そして日本での “先生自身のリアルな体験談” が、テキストに羅列された文字を活きたものにしてくれます。
時間に余裕ある学生時代に、リベラルアーツという教養を。目先の表面的な知識よりも、長き未来を支える人間形成のための栄養を。
「そういえば、うちのばあちゃんは自分で野菜を作って食べていたなあ。あ!あれはそういうことだったのか!」 授業の最後には、学生達は教わった内容を自分の身の回りの出来事に落とし込んでレポートライティングします。
いつも目線が海を越えていく国際コミュニケーション学科の授業。遠くを見つめることで自分たちの立ち位置を掴み取る。そんな広い視野が、学科のスタンダートです。