担当の大石先生の元気な一言から授業は始まりました。クラスのメンバーは全員がまだ1年生。
「Hi、Everyone! How are you?」
今日は、それぞれのチームで作ったSDGsに力を入れるカンパニー(会社)が、自分の顧客を前に、企業理念や仕組みを、英語「で」PRするという趣旨。教員含め、授業(プレゼン&ディスカッション)はすべて、英語ベースで進められます。
まだ入学して3ヶ月しか経ってないのですが、みなさん、もうかなり英語がイケてます。
「さあ、プレゼン始めますよ。Are you ready?」
『自分たちの生活から、地球の未来を考えようよ』という趣旨に沿い、授業で英語を学ぶわけですが、英語の文法を学ぶのではなく、英語『で』相手に訴求力のあるプレゼンの方法を学ぶのが国際コミュニケーション学科のスタイル。だから、授業では『もし、自分たちがSDGs企業を立ち上げたなら、こんな風にやります!』という企業PRを様々な角度から考え、クラス内で発表していきます。
SDGsと一言でいっても、その中身はいろいろあります。
「僕たちの会社は、在庫を余らせないよう、受注販売にします」
「私たちの会社は、動物の毛皮を使っていません」
「俺たちのアパレルはクーポン制度を導入、GUのように不要な服を袋一杯1500円で買い取ります」
プレゼンが終わると、今度はクラスメイトから様々なツッコミや、質問が入ります。
「そちらの企業さんでは、そうするとTシャツは一枚いくらで販売することになるんですか?」
「利益はちゃんと入ってるんですよね?それはどのくらいですか?」
「フェアトレードを取り入れるとのことですが、具体的にそれはどういうことですか?」
これに英語で答えるというのは、なかなかムズカシイ。単に文法を学ぶよりもずっと頭を使うし、何しろ自分たちの考え方がきちっとシミュレーションできていなければ、飛んでくる質問にもちゃんと答えられません。
「Tシャツの販売価格ですか? 1枚7000円になります。高いですか?高いかもしれないけれど、私たちの企業で作っているのは『100年使えるTシャツ』なんです。それだけ長期使えたら、1枚7000円、ちっとも高くないでしょう?私たちの企業は、地球の未来を考える会社ですから、消費者の皆さんもその理念に協力してもらえたらうれしいです」
少人数クラス、しかも自分たちの身近にあるテーマから広く未来を考えていく内容なので、授業にはとても活気があります。大石先生も、話題をクラスのほぼ全員に振って英語での答えを求めていくため、ぼーっとしている余裕はありません。1チーム企業のプレゼンが終わると、クラスメイトが積極的に手をあげて質問をしていく光景は、欧米圏の大学の少人数ディスカッションクラスのようです。
日本にいながらにして、時代のストライクゾーンにいる企業、地球のことも考えつつ、自社の利益のことも忘れない起業家。に、なる90分。単なる語学学習を超えた、意味を持った言葉が自然に脳にインプットされていきます。
「 来週は……家でどのくらいのフードロスがあるか、調べてきてください。それを、英語『で』答えられるように、考えてきてくださいね。See you next week!」
自分たちの学びが生活に直結しているからオモシロイ。英語も単なる文字記号ではなく、そこに意味がついている授業になっているからオモシロイ。教材自体を自分たちが編み出しているような感覚だから、オモシロイ。
受け身な授業はどうも性に合わないんだよねというみなさんに、ぜひ体験してもらいたい授業です。