この夏、ハンガリーにフィールドワークに出たチームが、元気に帰国しました。
今回の目玉は、田舎の村を舞台にアプリを開発しようというミッションに加え、【ハンガリーの現地企業でインターンをさせてもらうこと】。参加した学生はそれぞれの企業や組織で、現地での仕事体験をするという貴重な時間を過ごしました。
そこに至るまでには、学科の教職員が長年かけて培ってきた特別なコネクションを活かし、学科の学生を受け入れてもらえるようにゼロから交渉を続けてきたという経緯があります。
今回の受け入れ先をコーディネートした学科の大石佳奈実習指導員は、ハンガリーで3年間仕事をしていたという経歴の持ち主。それを活かし現地の日系商工会経由で在ハンガリーの企業に直接アプローチ、結果、他にはない唯一無二のプログラムを作り上げました。
今回、学科の学生を喜んで受け入れてくれると手をあげてくれた企業は、どれも魅了的な企業ばかり。その中の一つ、“郵船ロジスティクス”でインターン体験をした足立真敬さん(3年生)に、現地での日々を詳しく聞かせてもらいました。
■ 海外に観光では行けても、現地の企業の仕事に入り込んで研修を受けさせてもらうという機会はなかなかないと思うのですが、実際、どうでしたか?
とってもよかったです!!郵船ロジスティクスへ行かせてもらったのですが、漠然と物流の会社として認識するのみだったのが、今回現場を見させてもらって、業務の現場のいろんなことが手に取るようにわかりました。まさに百聞は一見にしかずでした。
■ 具体的にはどのようなことをやったのですか?
旅客が行けない空港の裏側まで見せてもらいました。世界中からさまざまなモノが送られ、荷受けするシーンはまさにビジネス最前線という感じで、とても楽しかったです。送られてくる貨物には、僕たちの想像を越えたさまざまなモノがありました。温度調整が必要な薬品や、機器に使うパイプ類……。貨物は貨物でも、それぞれの中身に対してキメの細かい配慮がなされており、スタッフがやっている作業は実に多岐に渡っていました。
僕は“物流”というものは、ただ機械の力を借りてそれを右から左に流すだけだと簡単に考えていたのですが、パレットをその場で人が組み立てるなど、想像以上に人力でこなしている場面があり、びっくりしました。私たちが日常何気なく使っているモノの裏側は、こうしてたくさんの人たちの労力の積み重ねの上に出来上がっているんだなあということを、身をもって学びました。陸送されてくる貨物も、全てナンバー管理されており、荷受けの際にトラック番号と荷物番号の照合をしたり、ビニールを外して中身が大丈夫かチェックをしたり。荷受けが終わった後のトラックの荷台の清掃もやらせてもらいました。
ハンガリーにある郵船ロジスティクスなので、日本とハンガリーの橋渡しがメインかと思っていたら、実は47国、681カ所にも及ぶ拠点があるとのこと。会社自体は日本企業ですが、仕事の内容は完全にグローバル企業でした。ですから働いている人たちも多国籍軍。ハンガリー人、ウクライナ人、日本人が力を合わせてやっていました。ハンガリー語が通じない人が多いので、英語でのやりとりがされていました。私たちも物流の一端を担わせてもらうお手伝いをさせてもらいました。
■ 足立さんは今回が初海外ということだったのですが、インターンをしている間、言葉(英語)が通じなくて困った場面はありませんでしたか?
それがあまりなかったんです。日本にいる間に英語の基礎を固めることができていたから。1年生の時からネイティブの先生との雑談で鍛える環境が学科にはありました。普通ならば授業が終わったらそれで終わりとなるところ、学科の英語の先生はその後のおしゃべりにも付き合ってくれるような先生だったので、一緒に音楽の話をしたり、先生に逆に日本語を教えたりしているうちに、普通の英会話は困らないレベルに達しました。だから国内にいても、語学力は習得できる、それはみなさんにも伝えたいです。
■ 現地スタッフさんといろんな話をされたと思うのですが、何が印象に残っていますか?
「仕事を進めていく上で何が一番難しいですか?」と聞いたところ、案内をしてくれた日本人社員の人がこんなことを言ってました。「一緒にやるメンバーの文化背景がバラバラなので、感性が全く違う=一つの作業についても考え方が全く違う。だから“違い”に目を向けるのではなく“お互いの不得意を補い合って仕事をしていく”という姿勢が必要とされるんです。口で言うのは簡単だけれど、実際やってみると難しい。荷物に傷がついてしまったり、時間通りに届かなかったり。私たちの仕事は、荷物を最終目的地まで滞りなくお届けすることがミッション。だからそこに向かって、多国籍軍全員で力を合わせて頑張っています」と。これは日本にはない感覚ですよね。
■ 働き方の違い、みたいなものは感じましたか?
それはありますね。現場マネージャーさんに「仕事はどうですか?」と聞いてみたんです。「辛いこともあるけれど頑張ってるよ」とかそういう答えが返ってくると思っていたら、真逆の答えだったんです。「毎日が新しい(毎日扱う荷物が違う)から、やっていてとても楽しいよ!」と。これからの就職活動を想像しいろんなことを考えあぐねていたのですが、「そうか、仕事は自分が前向きに取り組めば楽しくなるものなんだな」ということを教えられた気がしました。アルバイト経験を通して『仕事=作業の連続』と思っていたのですが、『仕事=自分の姿勢次第でクリエイティブになる』という考え方もできるってことですよね。このインターンを通して、『作業』を超えた『企画系』の仕事もいいなと思えるようになり、海外で働くのも悪くないなと思うようになりました。
■ 足立さんはこれから就職活動ですが、どういうところを目指していますか?
仕事にあまりこだわりはないので幅広くあたってみようと思っています。今回のインターンを経験したことで自分の見識は格段に増え、面接でも話すネタがたくさんできたので、それを武器に、これから就職活動に臨みたいと思います。
国際コミュニケーション学科の強みは、各教職員が個人的に培ってきた独自のネットワークが世界中に張り巡らされていること。だからこそ、提供しているプログラムは、唯一無二。
世界に羽ばたいていく学生さんたちへのキャリアデザインを形作るきっかけとして、これからもたくさんの独自性の高いインターン企画を開発していきます。
海外で働きたいと思っている高校生のみんな、ぜひ先輩たちの話を聞きにきてくださいね。