連続4回講座の国際文化論。今日は、外国人の在留資格申請などを手掛けている笠間先生がご登壇。テーマは”外国人住民の在留資格と社会生活”。
現在の日本社会における外国人の、滞在のための事務的なルールと手続きについてご説明いただきました。
隣の友人は外国人。バイト先の上司も外国人。国際結婚も増加の一途。という時代。
笠間先生によれば “ハーフ” という呼び方もいまや “ダブル” という言い方に変わりつつあるのだそう。
「“ハーフ” は “半分” ですが、“ダブル” は(エッセンスが)“2倍” ですから」
在留外国人は過去最高を記録、現在およそ320万人。これは日本の全人口の2.5%なので、およそ100人に2-3人が外国人ということになります。
では、笠間先生はどんな仕事をしているのでしょうか?
元々は国際協力NGOで途上国支援を行なっていたこともあり、外国人支援のために行政書士の資格を取ったのだそう。
「行政書士×外国人支援=外国人の在留資格の書類の申請が主な業務になります。在留資格と一口に言っても実に29種類の資格に分かれており、
それぞれどの資格を取るかによって、仕事の就労時間や選挙権など、できることが変わってきます。
書類作りはもちろんのこと、仕組み自体も複雑怪奇なので、それらを日本政府と外国人との間に立ち、在留資格申請のための書類を作って彼らに代わり、
入国管理局に書類を提出する専門家となります」
在留資格によって、活動の制限がないもの(例・永住者や日本人の配偶者)から、限定された職種の中での活動を許されているもの(例・語学教師や介護、調理)、もしくは就労は一切認められていない資格(例・研修、文化活動、短期滞在など)など内容は実にさまざま。
「介護の分野などはかなり昔から知られたジャンルですが、現在のように外国人観光客が激増している日本では、外食&宿泊業でも人材が不足しているため、“特定技能” という括りが新たに設置されるなど、時代によって仕組みはかなり変化していきます。私たち行政書士は、常にその情報をアップデートし続けなければならないので、資格を取得した後もずっと情報を仕入れ続け、勉強を続けています」
実は国際コミュニケーション学科も、親の国籍が日本ではない→笠間先生が言うところの “ダブル” 人種がかなり増加中。
フィリピンや韓国、中国など、国際結婚カップルから生まれた人たちも多く、学科に属しています。
「在留外国人には在留カードというものが発行されており、そこに個人情報が記載されています。一口に在留外国人と言っても、それぞれいろんな立場がありますので、みなさんもぜひそのあたりの知識をつけて、身近な外国人への配慮が上手な人になってください。お困りごとを相談されたら、私たちのような専門家にぜひ繋いであげてください。日本の仕組みは複雑なので、専門家が最適解を出してあげることが、結果、在留外国人にとっての居心地のいい日本を作っていくことにつながりますから」
そんな先生のお話を元にして、隣の同級生と積極的なディスカッション。
笠原先生はもう一つ、行政書士の大切な責務を教えてくれた。
「私たちの行政書士は、ともすれば “人の人生を左右する業務” であるということです。在留資格者のライフステージは変化していきますから、その時々に応じて私たちが的確な判断をしていかないと、日本に在留する資格自体を取り消されてしまうということにもなりかねません。
最初は留学で日本に来た外国人も、やがて就職し、結婚をし、子供を生み、場合によっては離婚、または病気で失職することも考えられます。そんなとき、永住者でない在留資格者は、生計能力がなくなると本国に帰国せねばならなくなるので、私たちも非常に気を使い、あらゆる知識を総動員して道を探ります。在留資格はルールを破ると日本から即退去。なるべくそうならないように方法を模索しますが、タイミングや準備不足のために叶わないこともある。そんな時には家族4人の運命を180度変えてしまう可能性もあるので、非常に重い責任感を持ちながら業務に励んでいます」
日常的に国籍の壁が低く&多国籍に開かれている国際コミュニケーション学科での外部講師による国際文化論。
これからますます外国人の定住化が進むと思われる日本で、国際コミュニケーション学科での学びは、日常生活に直で繋がっています。
聴講した学生さんの感想は?
「確かに入国管理局の厳しい水際対策のおかげで日本の治安が守られている部分はあると思います。
それと同時に、そもそも外国人の皆さんは日本語の習得からスタートせねばならない→難しい仕組みは理解そのものができない。
なので仕組みの簡素化や、届け出のオンライン化など、もう少し外国人が入国しやすくなるような改善を進めても良いのかなと思いました」
次回は24日(月)。テーマは『多文化共生と社会福祉』。一般参加も受け付けています。お申し込みは 042-591-5527までどうぞ。