3「フェアトレードっていう言葉を、聞いたことがありますか?」
学科の有志らの声が響く学食。普段通りにランチを取りにきた学生たちが、ちょっと興味をそそられた様子で、パネルなどの前に立ち止まる。
こちらも学生が主体となって学食の一部をお借りして実現させた、カフェ。だけれど、ちょっと様子が違うのは、普通は“一杯のコーヒー”には値段がついているものだけれど、このフェアトレードカフェのコーヒーの価格は、購入する個人に委ねられているということ。
そもそもフェアトレードとは、販売業者が生産者と直接取引をすることで中間マージンを減らし、その分生産者に労働に見合った収入を還元しようという取引方法。 企画の中心人物となったSさんはこう言いました。『大事なのは、まず自分たちが楽しいと思える企画をすること。そして同時にフェアトレードが何かということを人々に伝えること』。
ペルーやメキシコ、東ティモールのコーヒーを用意し、購入者に価格を決めてもらうという、本学学食でも前例のない企画は、人によって10円から1000円までの値段がつけられ(平均が231円)、数万円の利益をあげてイベントを終えることができた。
「実現するまでは、メンバー同士でのすれ違いや、想像以上に作業量の多さに、もうへとへとでしたが、でもこうして自分たちの手だけで実現できたことは、何物にも代え難い生きた学習だったと思います」
継続は力なり。企画班のメンバーは来年はもっと善くしようと、目をきらきらさせています。